MRSA感染とリファンピシン

リファンピシンとブドウ球菌のreview(Arch Intern Med. 2008;168(8):805-819)を斜め読みしました。

リファンピシンって不思議な薬です。抗結核薬として覚えていたら、なんと、ブドウ球菌の治療にも使います。そしてMRSAにも。

最近、人工関節のMRSA感染にリファンピシンで治療しました。
そこで少しお勉強。

リファンピシンがユニークで有用と考えられている点は、脂溶性だから細胞内の濃度が高くなる、バイオフィルムを貫通して効果を発揮する(人工物が入っている時に有用かも!)。MRSAに感受性が残っていることが多い。一方欠点としては、、耐性獲得が早いみたい。

そこで、MRSAの治療を単独で行うことは推奨されていない(耐性で効果なくなるから)。そこで、バンコマイシンやシプロフロキサシンとの併用での治療が試みられています。

しかし、実は臨床試験は少なく、negativeな結果も多い。具体的には菌血症や敗血症のときはVCM vsVCM+RFPでは残念ながら、RFPを加えた方が、菌血症の期間や発熱の期間は長かった。残念!(ただし、動物実験ではRFP加えた方が良い結果もあり)

唯一(?)RFPを加えてよかったデータは抜けない感染した人工関節の治療(表皮ブドウ球菌、黄色宇ぶどう球菌)でCPFX Vs CPFX+RFPではCPFX+RFPの方が成績良く100%の成績であったよう。バイオフィルムに対して効果的という点が人工物治療に対して効いたのかもしれない。

簡単なまとめ
臨床研究が少なく結論づけられていないが
菌血症にRFPを追加することのメリットはない
VCM vs VCM+RFPは今のところ良い結果がない。
人工物感染にCPFXにRFPを加えることはいい結果が得られた。
ブドウ球菌に単独RFPで治療するのはやめた方が良い。

感染症治療は日々発展していてついていけません。