気道熱傷に予防的抗菌薬投与するか?


熱傷の予防的抗菌薬は悩ましいです。

私が研修だった10年以上前には熱傷患者は来院して熱出てCRP上がったら創部も汚いし、初期からの抗菌薬投与もかなり行われていましたが、最近は、予防的抗菌薬投与は我慢していることが多いです(でも術後に感染症で持って行かれることも多数あります)。うーん悩ましい。

気道熱傷も肺炎なりやすくて予防的抗菌薬投与するべきだとか、議論があります。
最近の症例ではいれずに乗り切れてますが・・

uptodateでは気道熱傷に予防的抗菌薬投与には結論なし・・という無難な答え

参考文献では
Clin Infect Dis. 2016 Jan;62(1):60-6
2893人の受傷した熱傷患者(対象患者は気道熱傷ではない)。入院後2日以内に人工呼吸器管理をされた重症患者では28死亡率が予防的抗菌薬投与群で低下した。人工呼吸器管理されていない患者では差がなかった。
人工呼吸される重症熱傷患者では予防的抗菌投与が有効かもしれないとの結論

Burns. 2014 Dec;40(8):1476-1480
58人の気道熱傷患者が対象。全員が予防的抗菌薬投与を受けている。肺炎の発生率は予防的抗菌薬投与でも以前のデータと比較して変わらないが、死亡率過去の報告より良かった
※特に何か言えるデータでもないようです。筆者の主張もやや苦しいところのようです。

少し勉強しても日常診療を変えられるデータはなし。
相変わらず不明なところです。
こんなん抗菌薬入れないのがエビデンスやろ!という訳でもなく
抗菌薬投与が「悪」というわけでもなさそうです。